総務省統計局によると2004年11月1日現在における65歳以上の日本人の人口は2484万人だそうだけど、その10%にあたる250万人がボケちゃってるんだそう。ボケちゃってる原因は主に二つあって、一つは頭の血管がつまったり破れちゃったりする脳卒中がらみの脳血管性痴呆、もう一つはアルツハイマー病。ボケちゃってる250万人のうちの60%、約150万人がアルツハイマー病だといわれているだけど、これから高齢化が進む日本では、その数は今後もふえつづけて、2020年には300万人に達するなんて話もあるみたいですね。
人間の脳は神経細胞(ニューロン)からできているんだけれども、アルツハイマー病になるとニューロンがどんどん死んで行く。その結果としておきるアルツハイマー病では飯くったのに「うちの嫁が飯食わしてくれねー」って言ったり、自分の息子を捕まえて「おまえ誰だっけ」って言ったりする。
アルツハイマー病の人の頭がどうなってるのかっていうと、神経細胞が死ぬ、老人斑にアミロイドβというペプチドが集まる、神経原繊維が変性するという三つがみられるんだそう。とくにアミロイドβ複数個が合体したものには毒性があって、細胞膜に穴を空けるためにニューロンが死んでいくんじゃないかという仮説(アミロイド仮説)は結構多くの人が信じているみたいね。
ついでに言えば、アミロイドβは長いタンパクから切り出されたもので、アミノ酸40個もしくは42個からなる断片なんだけど、42個の方に毒性があるということになってるらしいです。もとの長いタンパクは三つに切断されるんだけれども、一つにはニューロンを守ったりするはたらきがあって、もう一つには核内で情報を伝えたりするそうです。最後のあまりがアミロイドβで、ゴミみたいな問題と考えられてるみたいです(ただ働きがわかってないだけかもしんないけど?)。
アミロイドβは若いときにはちゃんと分解されちゃうんだけど、40歳くらいから次第に脳内にたまっていくんだそう。だけど、アルツハイマー病が発症するほどたまるまでにはずいぶん時間があるから、平均寿命が50歳とか60歳のころにはぜんぜん問題にならなかったんだけど、今みたいにやたらとながいきするようになると、かなりの人がボケちゃうことになる。60歳くらいじゃアルツハイマー病の人なんてほとんどいないんだけど、80歳になると4人に1人がアルツハイマーの前段階(軽度認知障害)で、さらに4人に1人がアルツハイマー病になってるらしい。つーことは、80歳の人は、程度はともかくとして、半分はボケてるってことになる。
そこでどうするかというと、アミロイドがたまってるかどうか検査して、結構たまっちゃった人には薬でアミロイドがたまらないようにすればいいということになる。そこで、今回の理化学研究所の西道(さいどう)さんたちの出番。
これまでアミロイドβを検出しようとすると、PETとかを使ってたらしいんだけど、いかんせんPETは費用が高いし、放射線被爆したりするから、あんまり具合がよくないと。それで西道さんたちはどうしたかというと、MRIでみたときに、アミロイドβにくっついて光ってみえる「FSB」という物質を使って、アミロイド班を画像としてとらえることに成功したんだそう。FSBはフッ素を含む物質で、このフッ素が核磁気共鳴(これがどういうことか知らないけど…)して信号を出すために、MRIで画像化することができるんだそう。まだマウスだからすぐにヒトにも応用ってわけには行かないんだろうけど、お手軽にみられるようになるのであれば、ぜひがんばって欲しいところ。
診断方法ができるようになると、次はやっぱり薬ですね。西道さんたちのもう一つの成果は、その治療薬に関係するもの。アミロイドβがたまるっていうことは、正常な時よりもアミロイドβがたくさんつくられちゃうか、もしくはアミロイドβが分解されていないんじゃないかってことは想像できる。で、実はアルツハイマー病には2種類ある。一つは遺伝性があって、若いうちに発症する家族制アルツハイマー病。もう一つは年寄りがなる孤発性アルツハイマー病。家族性アルツハイマー病の場合には、遺伝子の変異でアミロイドβがたくさんつくられてることがわかっている。だけど、家族性は日本に1000人とか2000人とかしかいない。
やっぱりちゃんと調べたいのは、孤発性アルツハイマーの方。西道さんたちは、孤発性アルツハイマー病の場合には、アミロイドβを分解する「ネプリライシン」という酵素のはたらきが弱くなっていることを、2001年につきとめてたんだけど、じゃあなんでネプリライシンの働きがよわくなっちゃってるのかっていうのはわかっていなかった。
そこで今回はそれを調べましたというのが二つ目の成果で、「ソマトスタチン」というペプチドが、ネプリライシンのはたらきを上昇させることがわかったんだそう。ソマトスタチンは細胞表面にある受容体に結合してネプリライシンのはたらきを制御してるんだけれども、それじゃあこの受容体に対するくっついてネプリライシンの働きを強くする薬をつくったらいいんじゃないのっていう話になる。
受容体をねらった薬っていうのはたくさんあって、胃薬なんかとして使われてるβブロッカーとか、花粉症の抗ヒスタミン薬とか、ンゾジアゼピン系睡眠薬なんかはみんな受容体にくっつく薬なんだそう。というのも、薬をつくるが簡単だからなんだって。
段階の世代がぼちぼち60歳で定年になるわけだけど、この人たちに一斉にボケられたら困るわけで、早いとこ薬をつくっちゃってほしいですなー。
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